「津山の七不思議」

投稿者:従業員2名副代表取締役☆ナイト ユータ☆の体験怪談

 

おじいちゃんから、聞いたお話しです。。。

おじいちゃんが誰かから、聞いた話しでは、
六不思議だったそうです

40歳の僕が、保育園年長さんだった頃のことなんですが、
小3まで市営の団地に住んでいました
二階建ての横五つ繋がりで一棟の団地です
保育園行きがけに、何棟かある内の一軒が、一緒に良く通っていた子の家でした

年長さんになると最後の行事で、
お泊まり保育というのがあります

その日もその友達と一緒に通園し、
色んな楽しい催し物がありまして、
なんやかんやあった後、
大広間にみんなで布団を並べて、
いざお泊りの時間になりました

布団に入りましたが、
気持ちが、たかぶっていたのもあり、
中々寝付けません

しばらく寝付けないでいると、
1人の子が、「ガラガラガラ…」、
ドアを開けて外に出て行きました

その子は一緒によく通っていた子だったんです
今日も一緒に通園した、あの子です

僕はなんだか気になり、
ほっとけないのもありまして、
後を付けてみました

保育園の外に出て行くようなので、
いよいよ心配になりました

声をかけようにも、中々追いつけません

大きい声を出しても、
全然気付いてくれませんでした

保育園の近くにある裏山にどんどん入って行くので、
やばいと思って、
追いかけるんですが、
全然追い付きません

保育園の裏の方に、小高い山があって、そんなに高い山ではなく、舗装はされてないものの、人が歩いて入れる程度の獣道がある、山なんです

人を呼びに行こうとも思ったのですが、
見失なうのもなんかやばい気がして、
ずっと追いかけていたんです

すると、
遠目に立ち止まったのが見えて、
ようやく追いつけると思った時、
なにやら地面を掘り出しました

よく見ると、
立て札のような物があり、
その裏をせっせこ掘っているんです

手で土を掘り返しているので、
何をしているのか、良く理解できなかったのですが、
恐る恐る近づいて行きました

近くまで来てようやく全貌が見えてきました

びっくりして思わず隠れてしまいました

なんと、
掘り出した骨をボリボリ貪り食べ出したのです

怖くなって動けずにいると、
突然、
パッとこっちを振り向いて、
目が合ってしまいました

物凄い形相と食い散らかしたあの顔は、
今でも忘れられません

僕の知っている彼女の顔とは、思えないほどの形相でした

全く違う気さえしました

僕は、やばい!と、思って、
一目散に山の獣道をかけおり、
保育園までなんとか逃げ帰り、
布団にくるまって、
早く寝て忘れようとしていました

すると、
「ガラガラガラ…」
帰って来ました

1人ずつ布団をめくり、
「こいつじゃない」…
「こいつも違う」…
と、
探しているように、
確認しているのです

段々と近づいて来て、
「こいつも違う」…
「お前じゃない」…
「こいつも…」
「こいつも…」

いよいよ僕の布団が、
めくられました

「お前じゃぁ!」

その瞬間、
僕は、気を失ってしまいました
気がつくと朝になっており、
みんな起きて、布団を畳んだりしていました

悪夢でも見たかのような寝覚めで、
びっしょり汗もかいていて、
あれからどうなったのかもわからず、
とりあえず、先生に昨晩の話しをしました

先生も一緒に泊まっていますから、
交代で見張りをしていたそうです

時々、トイレに行く子はいたらしいのですが、
「誰も出て行ったりしてないよ」
と、言われました

「じゃぁ何々ちゃんも寝てたんだ…」

と、
ぽつりとつぶやくと、
先生が、
「えっ?誰?」
と、言い、
僕は、
「誰々ちゃん」
と、応えると、
先生は全く知りませんでした

僕は状況が飲み込めず、
一緒に仲良くしていた友達何人かに
尋ねてみたのですが、
誰も覚えてません
いや、
むしろ全く存在しなかったかのように
、誰も知らないんです

帰って親に尋ねても知りませんでした

気になってその子の家に行きました

誰かが前に住んでいた痕跡もない程、
全くの空き家になっていました
余談なんですが、
少し大きくなって小学生の頃、
何かの授業でお墓の話しになり、
(確か戦争で亡くなられた方の変わった形のお墓からの流れで)
古いお墓では札が刺さってるだけのものもあるんだようと、
聞いて、
「その墓俺、見た事あるゎ」
って、なり、
実際に課外授業で、
何箇所か色んな種類のお墓を見に行きました

うちの身内の墓にも戦争で亡くなられた方の石碑のようなでっかい墓もあったり、ちょっと形の違う見る人が見れば何の墓かわかるようなものもありました

なので、そこにも行き、距離は離れてたのですが、
その時、あの現場にも僕の案内で行きました
山の獣道を進むと整地もされてない少し広い所に、
何個か古い札が刺さってるだけのお墓がありました

掘り返された形跡はありませんでした

今から思うと、課外授業で歩き回って行く程の題材だったのでしょうか?…
授業二時限潰して、
小3の僕のクラスだけ、特別に…

あれは、
悪い夢だったのか…
あんなに仲良くしてたあの子は
いったいどこに行ってしまったのか…
家族ぐるみで仲良かったのに
一家族がきえてしまうなんて…
都市伝説や怪談好きの僕が
今でこそ思うのは
違う世界線に行ったのか…
僕がきてしまったのか…

これが、
おじいちゃんと僕と友人Kだけが
知る、
津山の七不思議の一つのお話です

残り六つの七不思議は、また後日…

と、思ったのですが、
文字数調整して、後編の方をショートで投稿してしまいました。
前編の方が長いので、調整していると、
文字数が足らない事に気付いてしまって、
後編も一緒に投稿させて頂きます。
かぶってしまって、すいません。
時は戻り、
お泊まり保育の後日なんですが、
おじいちゃん家に泊まりに行った時の事です

お泊まり保育の時は、おじいちゃんから聞いた六不思議の話しは忘れていたんですが、
おじいちゃん家に泊まりに行った時に、思い出しました

おじいちゃんに、
「おじいちゃんから聴いた六不思議の一つの話しを体験してしまったみたい」
と、伝えると、
おじいちゃんは、おもむろに、
「この六不思議の話しは誰かに話したか?
誰にも決して全部の話しをしたらいけないよ」
と、言われました

六不思議全部の話しを聞いたら、
同じ体験をしてしまうそうです

それが、七つ目の七不思議、
だそうです

おじいちゃんは、何故僕に、七不思議の話しをしてくれたのか、
いまだに、わかりません

僕が、二歳の頃に初めて金縛りにあったり、見えてはいけないモノがみえているのも知っていたのかもしれませんね

その頃から沢山の色んな体験をしてきたのですが、
おじいちゃん子おばぁちゃん子だった僕は、おじいちゃんと良く似たところがあるようです
食の好みも似ているらしく、
おじいちゃんは、塩や醤油といった、塩分が大好きな人だったらしいです

僕は幼い頃に、母親からご飯に塩かけて食べるのは、縁起が悪い
死んだ人に出す、「まんま」じゃ、
と、教わってましたが、
大人になった今では、
何にでも塩かけますし、醤油味も大好きです

そんなおじいちゃんは、高血圧で、
血管を詰まらせて、亡くなりはりました

これは少し話しが脱線してしまいましたね
僕は、まだ、七不思議全部の体験をしておらず、
六つの体験談しかありません

この津山の七不思議の話しは、
僕とおじいちゃん、友達Kだけしか知りません

おじいちゃんが聞いた方が、他の方にも話していたら、他の方も誰にも全部は話せないまでも、誰かになんぼか話している可能性は、ありますが…

おじいちゃんは、僕が小6の時に亡くなってしまったので、
もう確認できませんが、
心当たりがあるのは、
僕と同じで、六つまでの体験しかなかったのでは、ないでしょうか…

七不思議の一つの話しには、
幼い子が、交通事故で亡くなってしまう話しがあるからです

その話しはまた、ショートの方にでも投稿したいと、思います

文字数が余ってるので、
七不思議の一つを、もう一つ…

同保育園では、花壇が沢山あります

これは、年長さんよりもっと前に体験した話なのですが、
毎年同じ時期に同じ歳の子が、花を植える経験をするという行事です

なので、前年度の方が植えて、枯れてしまった物を片付けたり、
春の暖かくなった時期にちゃんと花が咲くように、土を肥やしたりします

準備期間中に、掘り返していると、
早速、猫の死骸やら、子犬、ハムスターやら、小動物系の死骸が、何骨か出てきました

幸い、僕たちの班しか知らない事でしたので、
先生が言い出して、おおごとにはせず、裏山に埋蔵しました

その日から、どこからともなく、ごく稀に猫の鳴き声が聞こえたりしてきたものです

おじいちゃんの七不思議の話しでは、それが赤子の白骨だったそうです

僕は、小4の時に、転校する事になるのですが、
新しい土地に、親が一軒家を建てて、
3人兄弟なんですが、1人一部屋与えてもらい、やっと自分の部屋も持てました

そんなある日の晩に、久しぶりに、赤ちゃんのような猫の鳴き声がずっと聞こえてくるんです

あまりにもうるさいので、気になって、外に出てみたのですが、
どうやら庭の方から聞こえてきます

鳴き声のする辺りを掘り返してみると、
やはり死骸がありました

新築で、住宅地のちゃんと整備されてる土地

幼いながらも、ちゃんとお祓いとかもしてもらっていたことを覚えています

今から思い返すと、小学生の僕には猫の死骸なのか何の骨なのか、わかりません

ホントに猫の死骸だったのでしょうか…
また、誰が埋めたものだったのでしょうか…

くしくも、昔飼ってた犬の墓の横にまだ、埋まっているのかも知れません

妙に生々しかった、赤ちゃんのような、猫の鳴き声の話しです

今では、聞こえなくなりましたが、
七不思議の一つを体験したばっかりに、長い事、猫の鳴き声に、苦しみました

マジで、ウザかったのを思い出します
まだ、文字数が足らないので、
そのおじいちゃんにまつわる話しを一つ二つ…
僕が、18.19歳の頃に、遡ります

大阪のJR環状線天満駅から徒歩3分程度のところに、住んでいた時の話しです

僕はまだ、専門学生で、上京してきて初めての夏休みです

早くも地元が恋しくなり、地元の津山に帰郷しました

大阪駅から高速バスに乗り、
その日は、疲れていたのか、寝不足だったのか、
すぐに寝てしまいました

すると、
新大阪駅から、何人か乗ってきて人も増えたのですが、
僕は、目も開けず、そのまま寝入る事にしました

途中、めっちゃ変な夢を見て、目が覚めました

葛西SAに、トイレ休憩などで一回止まる少し前のことです

その夢は、車のスクラップ置き場のような所で、
今にもスクラップにされそうな、潰されてる最中の車に乗ってるんです

段々と押し潰される車
もうあかん!
って、ところまでぎゅうぎゅうに潰されてるところで、苦しくて目が覚めました

当時、80kgちょいの僕より、
明らかに大きい女性が、隣に座っていました

なんぼかまだ、空席のある中です…
また、話しが脱線してしまいましたが、乗っていたのが、バスで良かったです

そんなこんなで、無事津山には、帰れたのですが、
実家に帰るやいなや、家電が鳴り響いていました

ガラケーがまだ、カラーになったばっかりだったと思いますが、
携帯は、持ってたので、
普段はほとんど実家の家電に、出る事はありません

その日は、何の虫の知らせか、
何の疑問もなく、
「ガチャっ」
電話に出たんです

すると、
電話の向こうで声が聞こえてきて、
「ぅうたくん」
「ぅうたくん」
って、言ってるんです

僕のおじいちゃんは、戦争の後遺症で、
うまく「や」「ゆ」「よ」
が、喋れないんです

ゆうた(僕の名前)が、昔からうまく言えず、
ぅうたくん、って、呼んでました

そう

おじいちゃんから、電話がかかってきたんです

おじいちゃんが、電話をくれました

その日は、なんやかんやあったから、疲れてたのかもしれません

それでもあの喋り方は、おじいちゃんしかいません

僕は、懐かしさからなのか何故かもわからず、自然と涙が溢れました

もしかすると、七不思議を僕に話してしまったことが、未練になってるのかも知れませんね

大阪でも沢山のそういう現象を体験することになるので、心配していてくれてるのかもしらんです

かかってくるはずのない、おじいちゃんからの電話

そんなこと、あるんですねぇ…
僕は、おじいちゃんから七不思議の話しを聴いたこと、
全く気にしてませんし、むしろ誰も経験しないような体験が出来、
また、話題にも出来るので、有り難く思ってます

七不思議、全部は、話せませんが…
僕は、強力な幸運に守られてますので、
おじいちゃんには、安らかに眠って頂きたいものです
ショートには、長過ぎて、
長編には、短い話しで、
こんな形になり、
申し訳なく思います

ただ繋がりのあるような話しですので、盛り込ませて頂きました

読んで頂けたら、幸いです

ご清読ありがとうございます

残り四つの七不思議は、また後日…

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計
大赤見ノヴ171615161478
毛利嵩志101010101050
吉田猛々161514161778
合計4341394241206

 

書評:毛利嵩志
ひとつ目の話は古典的ながらなかなかに怖いです。ただ、まだ文字数が余ってるので、とついでのように別の話を足すと、全体の構成が壊れてしまいます。6つの不思議を過不足なく書くか、ひとつの話を細かく十分に掘り下げた方が良いかと。

書評:大赤見ノヴ
関係性がある話ではあるもののオムニバス形式なので単純に勿体無い!1本目の話などは文章を削ぎ落としてショートで行ければ上位入選可能なくらいだなと読みながら感じていたんですがショートにも投稿されているとのことなので楽しみにしています。全体的な感想としてはオムニバス形式になるのであればそういう持って行き方にする、関係性のある話であれば最後に「これが津山の7不思議です」と明かすなどの構成力が欲しかったです。ただ、難しい表現やワードを全く使っておらず読みやすさに置いてはピカイチです。コア層だけではなく幅広い層に読む怪談を届けられる人材だなと思いました。

書評:吉田猛々
日本全国、各地方に七不思議はありますよね。お墓のお話は昭和のノスタルジックを感じさせるような怪談で懐かしさすら覚えました。しかしその後に家族が消える、その意外さに不意打ちをくらった気持ちになりましたね。そしておじいちゃんからの電話のお話、何かを伝えたい気持ち、体験者にしかわからない喋り方、怖さもありながら「死んでも終わりじゃない」というか、今生で別れても家族の縁は永遠なんだなと感じました。そしてご本人もおっしゃっていますが、ショートと長編の狭間で揺れる葛藤が滲み出ています(笑)。その辺の構成、そしてもっと津山らしさが伝わる描写があると尚いいなと思いました。