「螺旋の雨」

投稿者:中岡いち(ペンネーム)

 

 思えば、幼い頃から雨の音が好きだった。
 あまり強い風さえ吹いていなければ、いつも不思議と私の気持ちを落ち着かせてくれた。そんな記憶がある。
 それにしても、もう何日目になるのだろう。
 ずっと降り続いているかのような、そんなおかしな感覚が生まれるほどの連日の雨。
 それはもはや夏の湿度だけの問題ではないのだろう。
 小粒の雨。
 大粒の雨。
 間違いなく私の肌に直接まとわりつくような濃厚な響き。
 そしてその雨は窓のガラスと壁を繰り返し打ち、建物を小さく揺らし続けていた。

 最初にその村を訪れたのは、六月の終わり。
 フリーのジャーナリストをしている私宛に直接の依頼が来たことが始まりだった。フリーとは言っても残念ながらそれほど自由な身でもない。以前勤めていた雑誌社と、いわゆるその会社勤めの頃に作り上げた人脈に縋りつきながら仕事を頂く生活。
 もちろんフリーだからこその仕事も回ってくる。何かトラブルに繋がりかねない可能性がある場合、会社が責任を取りたくないからというのが理由だ。よほどでない限り、それでも私は仕事を受けてきた。
 とはいえ生活が楽とは言えない日々。彼氏など何年も作る気にすらならなかった。
 そんな中で私が受けた依頼の一つ。
 それはオカルトライターの仕事。印刷媒体ではなく小さな雑誌のホームページの一ページに過ぎないものだった。
 もちろん会社勤めの頃に取材記事を書いたことは何度もある。「文章は書かなければ書けるようにはならないから」と言われて先輩の記事まで代筆したことがあった。その先輩は「読書量が多い人でも文章を書くことは出来ないものだ」というのが持論だった。実際に描き続けた今となっては、言わんとしていることは分からなくもない。
 とはいえ、オカルトの記事は今まで書いたことがなかった。事件記事とは求められるものが違うのは私でも分かる。
 最初は断った。
 しかし最終的に、報酬の高さに私は折れることになる。
 そもそも前任者のオカルトライターは社内の人間だったということだが、突然退社をしたとのことで私に回ってきたもの。
 昔にオカルトブームというものが存在していたことは二十代後半の私でも知っている。今はすでに終わったものとは言っても、やはりそれを再燃させたものはインターネットなのだろう。時代に合わせて形は違えど、それでもやはりオカルト的な不思議なものに興味を持つ人たちはいつの世でもいるのだろう。
 その時代にどんなオカルトが流行るか。
 私が意識するべきはその点だろう。
 そんな程度に考えていた。しかしこれもインターネットの弊害か、困ったことに現代のオカルトの範囲は私が思うより広かった。
 そして不本意ではあったが、全国の心霊スポットを調べるところから始め、もちろん文章だけでまとめる自信も知識もない私は直接足を運ぶこととなる。それが読者に受けることに繋がるのか分からないまま続け、支持を得られているとは思えないまま続けていた。
 初めの頃は、事実として反応は薄かった。
 そして一年も続けた頃からだったか、ホームページの投稿欄に私宛の依頼が入り始めた。
 明らかにイタズラのようなものもあったが、取材が可能なものであればネタとしては埋めることが出来る。正直心霊スポットネタは反応を見る限り飽きられていた。依頼の中で興味をそそられたものだけ、と意識して取材をしていく。
 そしてこれが思っていた以上に評判が良かった。
 結果、依頼も増えていく。とは言えオカルト専門のホームページではない。あくまでマイナーなニュースサイトの一ページに過ぎない程度だ。
 その村を訪れたのは、そんなサイトの依頼の一つでしかなかった。
 初めに会ったその女性は、私よりも少し若いくらいだろうか。相手が女性の場合に直接会うような取材がしやすいのは同性の特権なのかもしれない。異性だと抵抗感を抱かれることも少なくはないと聞いている。
 それでもあまりその女性は社交的なほうではないのか、どことなく緊張が見て取れた。
 梅雨の季節。その女性との待ち合わせの日が雨だったからといって不思議なことはないはずだった。
 少なくとも、その時の私に「雨」に対しての疑問はない。
「水月と申します」
 私はそう言いながら名刺を差し出した。
 待ち合わせの喫茶店は昔ながらの雰囲気。店に入るなりコーヒーの香りが鼻の奥まで届くような濃厚な店。遠くの場合は分かりやすい大手のカフェを使うが、近場の時、可能な限り私はこの店を利用していた。決して賑やかな店ではない。薄暗い間接照明と程よいBGMの音量が会話を隠してくれるために取材には丁度いい。これまでの経験からだが、不思議とオカルトネタは他人に聞かれたがらない人が多い印象だ。
 やはりその女性もそうだったのだろうか。
 最初その緊張感を感じた時はそうも思ったが、それだけではなかった。
 その女性の話は、私の意識を釘付けにする。
「フリーの方なんですね」
 女性はそう言いながら、目の前のコーヒーカップの横に私の名刺を置き、そこからゆっくりと視線を上げた。
 落ち着いたと言えば聞こえはいいが、正直地味な雰囲気の女性。それが私の最初の印象だった。そして今回の取材には、その女性からの条件があった。

 名前を聞かないこと。
 仕事など、プライベートを聞かないこと。
 話すことが出来るのは、村の名前と場所。
 そして、その村の風習について。

 秘密というものは、時に人の感情を高揚させる。
 それが謎に満ちていれば尚のことだ。私もやはりその「風習」というものに惹かれた。土着信仰という言葉は多くの場所にあるものだ。そしてその多くは決して怪しげなものではない。あくまでその地域ならではの信仰から生まれる風習に過ぎない。その地域毎の違いが文化の独自性を作っていく。
 しかし、オカルトの世界では少し違った意味合いを持つことも事実だ。オカルトで扱われる土着信仰は不思議な、というより、大袈裟に表現するならば不気味なものも多い。私もこの仕事を始めてから知ったことだが、極論として言うならば、だからこそオカルトのジャンルとして見られるのだろう。多くの土地の人たちが必ずしもオカルト的な要素として風習を守ってきているわけではない。
 しかし同時に、そういう風習はなぜか表に出にくい。
 このインターネットの時代に於いても尚。
 私は常々それが不思議だった。
 昔から続いてきた風習。それになんの疑問も持たずに続けてきたのならば、人の流れと共に情報が激しく流れる現代で、どうしてその情報が露呈しないのか。
 それは気持ちのどこかに小さく存在する後ろめたさなのかもしれない。
 私は常々そう考えていた。
「私の実家の……田舎の村のことなんですが……」
 女性はそう言いながら、俯き加減に周囲に視線を配り続けていた。目の前のコーヒーにも手をつけようとはしない。
 私はコーヒーに口をつけ、次の女性の言葉を促した。
「メールでは気味の悪い風習があったと書かれてましたが……」
「……はい。私も村を出てから三年くらいになりますが、最後の夜に両親から口止めされました。もしも口外したら祟りがあると言われまして……」
「穏やかではありませんね」
 そう反射的に応えながらも、その時の私にはそれほどのこととは思えなかった。
 正直、大袈裟で胡散臭いとまで感じていた。実際に土着信仰を取材してみると心霊スポットの噂と同じに誇張されたものも多々あったからだ。
 しかし目の前の女性の目は、真剣だった。
「必ず雨の日に人が死にます……葬儀も雨の日で……」
 偶然、という言葉を私が言いかけた時、女性は震える声で畳みかける。
「……その葬儀では……村人が……遺体を食べます……」
 私の頭の中の「偶然」という言葉は、瞬時に「まさか」という言葉に変化していた。
 しかし口をついては出てこない。
 小さく唇を動かしただけ。
 そして、私は興味に背中を押された。

      ☆

 決して幽霊の噂話などではない。
 暗いだけのトンネルでもなければボロボロなだけの廃墟でもない。
 私が取材しようとしているものは、現在進行形の物語。
 過去ではない。
 やがて私はその村に辿り着いた。不気味な風習の残る村と言っても舗装道路で行けるし、道路には点々と電信柱が連なり、当然のように信号もある。
 昼間に到着してしまえばただの山沿いの田舎の光景。道路脇には田畑やビニールハウスが並び、その間には東北ならではの茅葺き屋根の古い家が鎮座していた。
 その光景だけなら何ら不思議なことはない。古いホラー映画のように、村の入り口に門などももちろん無い。
 女性からは村自体に役場は無いと聞いていた。一番近くの市の市役所の中に支所があるだけ。行政手続きはそこまで足を運ぶ必要がある。次いで驚いたのは交番も無いことだった。何かあれば隣の村の交番から人に来てもらうことになっていたという。
 とても二十一世紀とは思えない話だったが、実際に足を踏み入れてみると分かる。
 四方を山に囲まれた閉鎖的な土地。
 村に入れる道は一本だけ。
 そして、そのエリアは簡単に全体を見渡せるほどに狭い。
 特殊だと感じた部分はもう一つあった。村への道路は確かに舗装された物が続いていたが、その道路を進む者は村の人間だけ。どこかに抜けることが出来ない道路。従って、見知らぬ車が入ってくればすぐに分かる。
 かと言って深夜に山の中を歩いてこっそりと村に侵入するわけにもいかない。
 私は村への道路を車で進んで行くしかなかった。

 東北の閉塞性は冬の雪に起因するところが大きい。
 遥か昔は雪が積もることで人と物の往来は極端に減る。もちろん現代にそんなことはないが、それでも地元の人間性に染み付いた部分というものは少なからずある。
 私が触れようとしているのは、もしかしたらそんな古い因習の一端なのかもしれない。そう思うと、少しだけ怖くも感じていた。もしも現代に於いてもそんな閉鎖的な人たちが実際に存在するとしたら、私はその情報を引き出せるのだろうか。そんな不安もあった。
 私の母も東北の田舎の出身だったと聞いている。私がまだ物心のつく前の幼い頃に遠くの今の街に引っ越し、そこで私が中学生の時、病気で亡くなった。結局私が母の故郷を訪れることはないまま。そしてプロのカメラマンだった母のカメラバッグは今の私の愛用の物となっている。まだ幼かった私だったが、それでも母から聞いていた話は記憶のどこかに残っていたのだろう。問題の村を訪ねることで、久しぶりに母の面影を思い出すことが出来ていた。そして同時に、母がその村の出身でないことに安心する私がいる。

 六月が終わろうとしていた。
 もうすぐ今より暑い夏がやってくる。今はその前の雨の季節。
 その日も朝から雨だった。
 シトシトと弱い雨が続き、車のエアコンを付けなければ湿度が車内の気温を押し上げたことだろう。ここまでかなりの距離を走ってきたが、確かに車でなければ村には辿り着けない。しばらく駅を見かけていないというのもあるし。小さなバス停は道路沿いに何度か見かけたが、一日に何本走っているのかを想像すると高が知れていた。
 常に忙しいのはエアコンだけではない。私の目の前のワイパーも常に動き続けていた。
 やがて、そのワイパーの向こう。
 道路を横断する黒い群れ。
 私は車の速度を落とし、やがてその前で停まった。
 黒い喪服の人々が行列を成して道路を横断している。「雨の日の葬儀」という言葉が頭に浮かんだが、私の視線を捉えたのは、その人々の表情だった。
 誰もが、その目に生気を感じられない。
 もちろん葬儀ということは村の誰かが亡くなったのだろう。
 しかし私の知っている葬儀の参列者とは何かが違う。「悲しみ」とは違う目をしているように、少なくとも私には感じられた。
 その違和感が何か、その時の私には分からなかった。
 やがて最後尾が道路を渡り切るが、その一番後ろを歩いていた女性が足を止め、顔をこちらに向けた。私はワイパー越しに反射的に頭を下げるが、女性はそのまま視線を戻し、列に戻っていく。遠目ではあったが、その見た目は私よりは年上に見えた。中年の女性といったところだろうか。
 そして、気のせいか。
 この村を紹介してくれたあの若い女性に、どこか似ていた。
 もしかしたら親族か、強いては母親ではないかと思うほど。
 突然の葬列の存在だけではなく、間違いなくその既視感は私の気持ちを押し上げていた。
 聞きたいことは山ほどあったが、まさか葬儀の参列者に取材するわけにもいかない。周囲に他に走っている車もないまま、私はその参列者を目で追い続けていた。やがてその列は大きな家へと消えていく。
 さて、どうしたものか。
 村人全員が参列しているとなれば、近くの街で宿を探して出直すしかない。
 とりあえず大きく溜め息をついた時、その直後だった。
 運転席側のガラスにノックの音。
 慌てて顔を振った私の視界に入ってきたのは、一人の女性。
 喪服姿の女性だった。
 先ほど振り返った女性に似ている。
 そして、あの若い女性に、やはり似ていた。
 四十は過ぎているように見えるが、何よりその表情はヤツれて見えた。
 私はその女性の寂しげな目から視線を外すことが出来ないまま、窓を開けて軽く頭を下げていた。
「こんな田舎の村に、何か御用ですか?」
 そう言う女性の声は決して冷たくはない。むしろ感情があるとは思えなかった。
 同時に、明らかな、よそ者を嫌う目。
「あ、いえ、この地域の郷土史を調べてまして」
 私はこの村を紹介してくれた女性と事前に考えていた言葉を並べる。本当の理由など言えるわけがない。
 するとその女性は、表情を変えずにすぐに返してきた。
「そうですか……ええ……そうですか」
「この地域に変わった葬儀の仕方があると聞いて……さっきも葬儀の方々を見ましたけど」
 私のその言葉も事前に用意していたもの。
 女性は小さく息を吐いて返した。
「久しぶりの葬儀でした……」
 そう言う女性の姿は私には溜め息をついたようにも見え、その違和感はしばらく続くこととなる。
「若い人も減りましたから……」
 女性の言葉はそう続き、やがてその視線は道の先へ。
 今の時代に過疎という言葉自体は珍しいものではない。決してそれは歓迎されるべきものではないが、やはり現実の一つではある。
 ここを紹介した若い女性もこの村を出た一人。確かに見た限りでは農業以外に産業があるようにも見えない。あの女性の職業を聞くことは出来なかったが、きっとこの村では実現出来ないものだったのだろう。
「若い方はいらっしゃらないんですか?」
 そんなおざなりな私の言葉に、女性は遠くに視線を配ったまま応えた。
「……そうかもしれませんね」
 話が噛み合わない。
 しかしそれより私の興味を捉えたのは、目の前の女性の存在そのもの。本当に親子なのかもしれないと思った。目元から口調までもが似過ぎている。
 きっと、返す私の言葉も噛み合っていなかったに違いない。
「娘さんとか……いらっしゃいませんか?」
 聞いてはいけない質問だ。
 この村の存在を教えてくれた女性に繋がりかねない話題。
 ジャーナリストとしては失格だ。
 しかし、女性の反応は思ったよりも早かった。
「……いましたよ……もっと早く来てくだされば良かったのに……」
 早く──?
 反射的にそう思った私の中で違和感と既視感が混じり合う。
 そして女性は畳み掛けた。
「そうすれば私は娘を食べずに済みました……そのためにあなたに「身代わり」をお願いしたのに……」
 やっと私は、その話が噛み合わないものではなく、理解が出来ないものであることを意識していた。
 身代わり?
 じゃあ、あの女性は?
 続くのは女性の声、
「ちょうど今日は雨ですから……」
 突如として、突き刺さるような圧迫感が私の意識を包んだ。
 それは周囲からの視線。
 四方から車に近づく喪服姿の人々。
 無意識に、私はサイドブレーキを降ろしていた。ほぼ同時にアクセルを踏み込むと、タイヤが雨で濡れた路面を噛みしめ、恐怖心だけが私にハンドルを握らせていた。
「二十年待ったんだぞ! 逃すな!」
 開いたままの窓にしがみ付くような女性の声が後ろに遠ざかる。
 その言葉の意味は、その時の私の頭の中では宙に浮くだけ。
 時間を忘れるような雨の薄暗さ。
 その中、真っ直ぐな一本道。
 バックミラーには遠ざかる黒い人影。
 いつの間にか細くなる道。
 やがてワイパーの向こうには、その道の終わり。
 突然終わりを告げる舗装道路と砂利道。
 その砂利道を、まるで覆い被さるようにして深い森が塞ぐ。
 少なくとも車が進んでいけるような道は無い。
 通り過ぎることが出来ないのは分かっていたはず。
 車を切り返すスペースも無い中、バックミラーの人影が近付く。
 私は助手席のカメラバッグを掴むと、車を降り、迷いもせずに森の中へ足を踏み入れていた。

 服を濡らした雨か、汗か、私の体が森の湿度と絡み合っていく。
 辺りが暗くなったのはそれからどのくらいが経ってからだったのだろう。
 森の暗さよりも、私は瞼の裏にこびりついた黒い人影のほうが怖かった。
 足を止める勇気はない。
 そんな感情を阻むかのように周囲の雑多な木々が私の早る気持ちを邪魔し続けた。

 やがて気が付くと、曇り空とは言え、すでに空は明るい。
 そこは道路沿いの小さな祠の横。
 山道を見守るような古い祠。
 降り続く雨の中、私はそこで母の形見のカメラバッグを抱えたまま座り込んでいた。
 そんな私を不思議に思ったトラックのドライバーが声をかけてくれて、私は無事に帰ることが出来た。
 あの村を訪れてから経過していた時間は、すでにひと月。
 私が保護されるまでの時間。
 一晩ではない。
 ひと月。
 私には一晩の記憶ですら危うい。
 しかし事実として、ひと月が経っていた。
 身寄りのない私だったが、雑誌社が捜索願いを出していたくらいだから、どうやら嘘でも間違いでもないようだ。
 そしてあの村に私を誘った若い女性とは、あれ以来、連絡は取れないまま。
 雑誌社の編集長に話をして数日後に再びあの村を訪れたが、そこには廃墟と雑草だらけの畑が並ぶだけ。人が住まう痕跡は見受けられない。
 行政で調べてみると、二十年ほど前に廃村になっていた事実が分かった。
 そしてもう一つ。
 場所は間違いない。
 しかし、村の名前が違った。
 行政に記されていた村の名は、母の故郷の村の名前。

 そして、あの時の村の女性の叫び声を、あれから数ヶ月経った今でも私は忘れられないでいた。

「二十年待ったんだぞ! 逃すな!」

 私はあの時、どこに行っていたのだろう。
 もしかしたら、また、あの村に行くことがあるのだろうか。
 雨が窓を濡らす度に、いつもそれを思う。

 それにしても、もう何日目になるのだろう。
 しばらく部屋を出ていない。
 雨の日は外に出ることが出来ない。
 外が怖い。
 ずっと降り続いているかのような、そんなおかしな感覚が生まれるほどの連日の雨。
 それはもはや夏の湿度だけの問題ではないのだろう。

 そして、いつからか私は、雨が嫌いになった。
 唯一私の気持ちを落ち着かせてくれるのは、母の形見のカメラバッグだけ。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計
毛利嵩志121512121263
大赤見ノヴ151616161578
吉田猛々161716161681
合計4348444443222