9月30日
今日【〇〇先生】と娘のことで面談があった。
子供の将来を第一に考えたいという話だった。
10月1日
お寺に行って、しっかりとお参りしてきた。帰りに、おそばをいただく。
10月2日
また気持ちが落ち込んでしまった。今日は夫がリモートワークで家にいたので家事を代わりにやってもらった。
10月3日
エクレアを夫が買ってきてくれた。甘いものは好きだから、みんなで食べる。美味しい。
10月4日
は?まだ、そんなこと言ってるの?もう何日経ったと思ってるの?
10月5日
このままでいいわけがないと思っているけど、どうしても心が落ち着かない。薬を飲む量が増えている。夫は無理せず薬で落ち着くなら服用しろと言う。
10月6日
ろくでなしどものニュースを見てしまい、また気分が落ちる。そっとしておいてほしい。夫の強さに支えられている。
10月7日
しらなかったことが多すぎた。なんで、もっと会話してあげられなかったんだろう、今日は後悔の気持ちが強い。
10月8日
てめーの子にも同じことしてやろうか、なんで私たちの子だけ、こんなことに…。いまだに謝罪はない、けど、謝罪されたところで…。
10月9日
やつれてることを指摘され、夫が気分転換にとファミレスで食事。だけど、あの子のことが思い浮かんでしまう。薬のおかげで涙は我慢できた。
10月10日
るす中に、あいつらの親がやってきたようだ。カメラに映っていた。ようやく謝罪をする気になったようだ。弁護士の先生から連絡がきていた。
10月11日
ただここからですよ。と、教育委員会に「いじめ」を認めさせた、弁護士の先生の言葉に夫が力強く頷いていた。ただ黒も白にするマスコミが怖い。
10月12日
いっせい報道のおかげで、いじめを行った奴らの家にYOUTUBERが突撃しているようだ。私たちの家族が受けた苦痛を味わえばよい。
10月13日
せいせいしてる。娘の名前は一斉に報道したクソマスコミ。だけど、いじめを認められたおかげでネットで、加害者の奴らの名前も流れ始めた。
10月14日
つらい。娘は返ってこない。
10月15日
なつかしい写真が出てきた。たった3年前の家族旅行なのに、ここ最近の環境の変化、そして真ん中で写る存在がこの世にいないことが懐かしさを加速させる。
10月16日
ここ数日、テレビで論争が起きていたようだ。ただ私の家は全ての取材をシャットダウンし何かあれば代理人弁護士としているので影響は少ない。
10月17日
じつを言うと、この報道加熱で、いじめた奴らの誰か、もしくは親族でもいいから、自殺しろと願っている。
10月18日
さくばん全く眠れず、睡眠薬を飲んだため、昼まで起きれず。夫が休みだったので甘えた格好になってしまった。夫は本当に強い人だ。
10月19日
つらくても、やり遂げるまでは、生きていく。そう決めている。そうやって少しでも生きる活力を手にしている。まだまだ、私は生きる。
10月20日
ニュースを見ると、手のひらを返したようにマスコミが加害者と学校を責めている。あれだけ私たちの家庭を壊しておいて…。弁護士の先生に相談しよう。
10月21日
おそく起きた朝、夫が朝食を作り置きして、仕事に出かけた。寂しく朝食を食べる、ほんの数か月前にあった暖かさはもう感じられない。
10月22日
いじめ関係のNPO法人から勧誘がくるので、全て弁護士の先生を通してほしいとお願いする。正常な判断ができないので基本断っている。
10月23日
こんな日が自分の家族に訪れると思わなかった。なぜ、娘の変調に気づいてあげられなかったのか、なぜ、なぜ、なぜ、その繰り返し。
10月24日
みょうな気分になる。こんな呟きをつづけていいのだろうか?でも、今の私にはこれしかできない。
10月25日
せっかくだからと、夫が弁護士事務所の帰りに家族でよく食べに行った食堂に立ち寄った。薬が効いていたので、気持ちが落ちずに美味しく食べられた。
10月26日
きゅうな仕事が入ってしまったと夫は休日出勤。夫は本当に強い人だ。夫だって悲しいはずなのに、こんな私も支えてくれている。
10月27日
にんじんを見て、娘の被害状況を思い出す。あいつらのしたことは許されない。もちろん隠蔽していた学校も許されない。
10月28日
んーーーっ、薬で深い眠りにつけたので、今日の調子は良いみたいだ。
10月29日
のろいたい人は沢山いる。だけど1人に絞れと言われたら、奴しかいない。呪物ブームのニュースを見てそう思った。
10月30日
がっかり。加害者の親がマスコミの過剰報道で、首を吊ったと聞いたけど、命に別状はなかったということだ。人の家庭を壊した報いは届かなかった。
10月31日
れんじつの報道も、これで落ち着いていくかもしれない、でも私の気持ちはまだ晴れていない。どうしていけばいいのだろうか?
11月1日
たくさんの支援者からの声が届いていると、弁護士や夫が伝えてくれる。支援なんかより、もっと復讐してほしいと言ってしまい怒られる。
11月2日
お父さんとお母さんが家に来る。夫がこれから始まる裁判に向けて家にいられなくなるため、呼んでくれた。本当に私にはもったいない夫だ。
11月3日
またあの日の光景を夢に見てしまった。娘の部屋の扉を開けたときの光景。もう思い出したくないのに記憶は消えない。
11月4日
えほんを見ながらお母さんが泣いているのを見てしまった。お母さんにとっても孫を失ったんだからつらいと思う、それでも私には気丈に振舞っている。
11月5日
のうのうと話すコメンテーターにお父さんが怒っている、テレビ好きだった我が家がこんな風になるとは思わなかった
11月6日
これから我が家はどうなるのだろう。時がたてば全てを忘れることができるのだろうか、不安が押し寄せてくる。薬を多めに飲んで寝る。
11月7日
ときが戻ればいいのに。
11月8日
はなすと落ち着くというのは本当だ。夫に支えられながら心療内科に行き、先生と夫と話していると心が落ち着く。
11月9日
のみすぎてしまったみたい。頭がくらくらしている。
11月10日
ろれつが回ってないようだ。薬を飲み過ぎてしまったみたいだ。夫は医者から言われている分までだから気にするな、落ち着けばいいと支えてくれる。
11月11日
いつかでいいから、新しい子供が欲しい、そう思えるようになってきた。少しでも前向きになる。娘も夫も愛しているのだから。
11月12日
でんしゃに乗るとパニックになってしまうから、もっぱら車移動。今日は夫が不在なのでお父さんの車でお出かけ、親子3人、在りし日の自分達のようだ。
11月13日
これからのことを考えた。あと少し、あと少しで終わる。そう思いたい。
11月14日
ロシアのニュースが増えており、最近は事件のニュースも進展がないから落ち着いているようだ。もっと加害者や学校側を責めてほしいのに。
11月15日
しくじることは許されない。しくじれば私が壊れるかもしれない。
11月16日
てさぐりの中ここまで来ることができた。夫やお父さん、お母さんの支えでここまで生きることができた。これからも生きていきたい。
11月17日
やつれていた顔がようやくふっくらしてきたね、と夫が優しく声をかけてくれる。食事が美味しく感じるようになってきた。ここまでこれた。
11月18日
るいせんは壊れるかと思うほど泣いたのに、涙は常に作られるものだと知ったあの日から、随分経ったように思える。明日どうなるんだろう。
11月19日
家の窓から、中学校に救急車が向かっていくのが見えた。
昨日まで行っていた、呪術が成功したのかもしれないと思い。
私は中学校に向かった、すると野次馬の中に学校の近所に住む奥様方が何やら話をしている。
「屋上から飛び降りたって」
「この間もあったのに?」
「そうそう、あの時のは、いまだにいじめ問題でテレビで話題になってるけど」
と話している奥様方が私の顔を見て、会話が途切れる。
私の顔を知っていたようだ。
気まずそうな顔をしている。
学校の方を見ると、救急隊が救護者を運ぶ準備をしているところで、
「ここにきてはダメだ」と先生方が生徒たちを誘導している。
そして一部の生徒たちから
「〇〇先生!」と叫んでいるのが聞こえてきた。
私は、呪術の成功を確信して、その場を去った。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
これが「妻」のアカウントから投稿されていたSNSでの呟きです。
妻は、11月19日の呟きを発信したあと、
11月20日に、轢き逃げにあい亡くなりました。
そして妻のPCを整理をしているときに、このようなものが見つかったので、
オカルト好きの皆様に、本当にそんなことが実在するのか聞きたいのです。
「SNSを活用した呪法」
・まず1日目、自分の呪いたい相手のことを呟きましょう
・そこから数日間かけて、頭の一文字ずつに、自分の念を込めた文章を作成しましょう
・頭の文字が縦読みで一つの文章になるように毎日毎日一文ずつ呟きましょう
・最短で4日、次に9日、そして4と9を足した13日、最長で49日+最初の1日が呟く期間となります
・期間は長いほうが、効力は高まります
・最初の段階で、よく考えて日数を選びましょう、一度でも失敗したら、この呪法を二度と行うことはできません
・その文章に込められた思いが強ければ強いほど、この呪法は成功する確率が上がるでしょう
妻は、どこかしらから上記の情報を手に入れたようです。
そして50日間かけて実践したようです。
9月30日に、担任の名前を記載しており、
10月1日から、亡くなる前日である11月19日まで発信を続けていました。
私は、妻がSNSを使うことで、少しでも生きる活力が出ればと思っていて、どんな呟きをしても許容していました。
嫌なコメントや、何か問題があれば、ブロックや非公開にすればよいですし、
妻が自発的な行動を起こすようになったことを喜んでいたのですが、
まさかこんなことをしていたとは思ってもいませんでした。
妻は担任を恨んでいました。
娘を守ることをしなかったこと。
隠蔽しようとしたこと。
校外にバレたとき、娘に問題があるとしたこと。
そして、9月30日の面談の日、いまでも加害者側の子供の将来のために、
訴訟を取り下げましょうと話してきたこと。
もしかすると、それがきっかけとなって、その日から、この呟きを行うことを決めたのかもしれません。
お
ま
エ
は
こ
ろ
し
て
や
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つ
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つ
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た
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ま
え
の
こ
と
は
の
ろ
い
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し
て
や
る
しかし、私は、これを読んであることに気づいてしまいました。
もし、妻が実践した、この呪法が本物の呪法であるならば、
実は、妻を呪い殺してしまったのは私なのかもしれません。
この文章の締めに、SNSに私が発信した【ある日】から【妻が亡くなる前日】までの14日間の呟きを載せておきます。
偶然の一致であることを願っています。
ただ、もしかすると私の心のどこかで、妻のことをそう思っていたのかもしれません…。
11月6日
【妻】はもう限界なのかもしれない。
11月7日
つかれている。けど、妻にそんな弱気は見せられない。俺がそんなんでどうするんだ。
11月8日
まだまだ、そんなことはできないが、妻とまた愛し合いたい。新しい命を授けたい、やはり妻としたい。久しぶりに元気な妻を見て愛しくなった。
11月9日
のみに出かける。本当はお酒はまずいのだが、妻の調子も良いようだし、お酒が好きだった妻に戻ってほしい。
11月10日
せっかくの休みだったが、やはりお酒はまずかったか…。妻に申し訳ないことをした。
11月11日
わらい声が絶えない家庭だったとはいえない、けど、普通の家庭だってそう思い込んでいた。
11月12日
はずせない仕事で、義父と義母に妻を任せて車を見送った。後ろ姿を見て、娘が生きていたら将来こんな光景があったのかもと想像して落ち込んだ。
11月13日
もどれないのはわかっているから、在りし日の残照がまぶしく見える。けして、そんな良い親子関係ではなかっただけに余計に後悔する。
11月14日
うちにいると無音が怖いので、テレビをつけっぱなしにしてる。最近、ロシアのニュースが増えている。
11月15日
しかし、訴訟の手続きは大変だ。仕事に、妻の世話、弁護士との打ち合わせ、と余裕がないぐらい忙しいから精神が保たれてるのかもしれない。
11月16日
ただなぁ、と書類に目を通す。妻のことを考えると被害者の会などで会話の機会を増やすことが良い事なのか悪い事なのか悩む。
11月17日
くるしい日々を抜けてきたのか、妻の顔が少しふっくらしてきたように見える嬉しい。
11月18日
なぜあんなことになったんだろうな、この数か月、自問自答を繰り返しているが、答えなどない。
11月19日
いきなり、とんでもないニュースが飛び込んできた。娘の担任が自殺?担任を恨んでいた妻は笑っている。