子供の頃、いつものように家で母の仕事の帰りを待ちながら妹と留守番をしていると玄関のチャイムが鳴った。
妹は怖がりで場面緘黙の傾向があったから留守番をしてる時の来客や電話はいつも私が対応していた。
当時住んでいたのは古い平屋。インターホンなどついておらず、来客にはドアを薄く開けて直接顔を合わせなければならない。
「はーい」と言いながら少しだけドアを開けるとにゅっと見知らぬおばあさんの顔が覗いた。
腰が曲がって白髪頭のおばあさんの姿に子どもの私の警戒心は簡単に薄れた。
「あのぅ、こちらは増田さんのお宅でしょうかねぇ」
困ったように言うおばあさん。私はドアをさっきより開けて「はい、そうです」と答えた。
しわだらけでたるんだ肌のおばあさんの顔。右目の下には大きく膨れた泣きぼくろがある。
「ああよかった、それなら増田マサフミさんはいらっしゃいますかねぇ」
マサフミ?誰だろう。父の名前はタツオだしマサフミなんて親戚の中にもいない。
「すみません、うちにマサフミさんはいません」
私が言うとおばあさんは「あらぁそうなの」と少し残念そうな顔をした後、持っていた巾着袋をゆっくり開けてしわだらけの手で何かを掴んで差し出して来た。
「ありがとうねぇ、お利口さんだねぇ」
手を出して受け取ると個包装された飴が二つ。
知らない人から物を貰っちゃいけませんと大人から言われていたが、おばあさんのお礼の気持ちを断るのも悪いと思い「ありがとうございます」と言ってそのままもらうことにした。
おばあさんはそのまま一礼してから背を向けゆっくり去っていった。
ドアを閉めて部屋に戻ると妹が心配そうに私を待っていた。
妹に「人違いだったみたいだよ」と伝えて、さっき貰った飴を分けて食べることにした。
飴はひよことパンダの金太郎飴で、かわいいものが好きな妹が「どっちも欲しい」と言ったから二つともあげた。
そんなこともすっかり忘れた頃。
いつもより早く帰って来た母が料理をしながら妹の宿題を見ていて、私はその横でぼーっとテレビを見ているとピンポーンと玄関チャイムが鳴った。
母が出るだろうと思ってテレビ画面を見続けていたのに母は「三の段もう一回」と妹に言って野菜を切っている。
そうこうしているうちにまたピンポーンとチャイムが鳴る。
仕方なく私は玄関に向かった。
「はーい」
ドアを少し開ける。薄暗い空と白髪頭が見えた。
「あのぅ、こちらは増田さんのお宅でしょうかねぇ」
いつか来たおばあさんがそこには居た。
しわだらけの顔に浮き上がるような泣きぼくろ。
さすがに私もびっくりして隙間から「はい、そうです」と恐る恐る答えることしか出来なかった。
「ああよかった、それなら増田マサフミさんはいらっしゃいますかねぇ」
この前とすっかり同じ質問だ。私は首を横に振った。
「あらぁ、そうなの……ありがとうねぇ、お利口さんねぇ」
おばあさんはドアの隙間にそっと手を差し出してきた。ドキドキしながら受け取って、おばあさんが一礼したのを見届けてすぐドアを閉めた。
なんでこの前と同じおばあさんが……?
もしかしてぼけちゃってるのかな……。
手のひらにはおばあさんから貰った金太郎飴が二つ。
「エリ?ちょっと、エリ!そんなところで何してるの!」
気がつけば目の前で母が私を見下ろしていた。
はっとして今さっき起きたことを話そうとしたが、母がくるっと背を向けて「さっさとご飯食べちゃいなさい!」と言ったので、今日は機嫌悪そうだなと察して言うのを諦めた。
案の定、リビングの隅で妹は泣いていた。掛け算がうまく言えなくて相当怒られたらしい。
妹の様子も気になっていたけど、おばあさんと話していたほんの少しの間にもう夕ご飯が出来上がっていたことに私は驚いていた。
貰った飴はこっそり妹に「あとで部屋で食べようね」と渡した。
母と父はこの時期、子供から見てもお世辞にも仲がいいとは言えない関係だった。
朝になると割れたマグカップがあったり、泣き腫らしたであろう母の顔や、足早に家を出ていく父の背中を見ていれば幼いながらに色々理解してしまう。
私はなるべく両親の顔色を伺って大人しく過ごすことに努めていた。
妹の場面緘黙は日に日に強くなっていって、掛け算を何度もみんなの前でやり直しさせられたと泣きながら帰ってくることもあった。
──ピンポーン
私は留守番の間に玄関のチャイムが鳴ると、ああそういえば今日は金曜日だったと思い出すようになった。
毎週決まって金曜日に訪ねて来ては「増田マサフミ」を探すおばあさんのことを、私は内心”金曜日のババア”と呼んでいた。
やり取りを繰り返すことへの不気味さや苛立ちもあったし「もっとあの飴がほしい」とわがままを言う妹への不満もあったのだ。
「はいはい」
私がドアを開けると、いつものように金曜日のババアが立っている。
その日の私は妹と些細なことで喧嘩をしてとにかくイライラしていた。
金曜日のババアの言葉を待つ前に「うちに増田マサフミはいません」とぶっきらぼうに言い放つと、ババアはちょっと驚いた顔を見せた。
「あらぁ、そうなの……すみませんねぇ、ごめんなさいねぇ」
謝りながら老人特有の震える指先で巾着袋を開けるババア。その姿に罪悪感を覚えて目を逸らしていると、視界の端に手が伸びて来たので私は横目でちらりと確認しながら受け取った。
冷たい。重い。
いつもとは違う感触に驚いて手のひらの上のものを二度見した。
私の手には錆びた大きな裁ちばさみが握られていた。
慌ててドアの向こうのババアを見上げたがババアは既にいない。
代わりにバタンとドアが閉まる音が響く。
ずっしり重い裁ちばさみを持たされ、どうしたらいいのかわからず立ち尽くしていると「やめなさい!!あんた何やってるの!?」という母の叫び声が聞こえた。
ハッと我にかえった。子供部屋で妹が大泣きしている。母が私の頬をぶつ手がスローモーションのように見えた。
打たれた頬の痛みと急に景色が飛んだことに驚いて私は声も出せず狼狽えた。
母は私の手に握られていたはさみを取り上げながら「なんでこんなことしたの!?」と大きな声で言う。
私の足元にはバラバラになったぬいぐるみ。
綿があちこちに飛び散っていた。妹が大好きなぬいぐるみを私がハサミで切り刻んでいたのだとわかるまで少し時間がかかった。
確かに自分がやった記憶は何故かあるのに実感が全くない。なんで?なんで?
私はすっかりパニックに陥って「ごめんなさい」と繰り返しながら泣いた。母はそれを見て益々目を吊り上げ怒った。
──ちなみにこれは後から母が話していたことなのだが、この時期母が勤めていたドラッグストアで毎週万引きが続いていたらしい。
母曰く「あの頃高校生の女の子が二人組になって、金曜日の昼過ぎに万引きをしてたの。指示役の子と実行犯に分かれてやるんだけど、指示役の子は最後まで捕まらなかった」という。
母が実行犯役の女子高生を捕まえて問い詰めるとどの子も繰り返し大声で泣き喚き、ごめんなさいと言うばかりで指示役については一切口を割らず高校や警察とも何度もやり取りを重ねて疲れ果てていたそうだ。
母は忌々しそうに言っていた。
「あの指示役の子、今でも顔を覚えてるわ。泣きぼくろがあってニヤニヤしてて」
──そんなことを何も知らない当時小学生の私は、泣き喚き「ごめんなさい」と繰り返すことしかできず、知らず知らずのうちに母の悩みの種である万引き少女たちと同じ行動をとってしまい、まさに地雷を踏んでしまったわけだ。
これでもかと母に怒られ、その日は寝るまでずっと泣いて過ごした。
金曜日のババアが飴ではなく裁ちばさみを寄越したことも、気が付いたら自分がぬいぐるみを切り裂いていたことも全てが不安でたまらなかった。
でも母親に言ったところで信じて貰えないかもしれないし、今更言ったら逆に怒られるのではないかと思って結局言えなかった。
妹には「ごめんね。金曜日のババアがハサミをくれたところからよく覚えてないんだ」と伝えた。
妹は悲しそうな顔をして首を横に振るだけだった。
妹はついに私にも上手く話せなくなってしまった。
事を荒げたくない、迷惑をかけたくないという気持ちで私は一人この不安を抱えたまま過ごしていた。
そうこうしている間にもまた金曜日が近づいて来る。
憂鬱で怖くてたまらなかった。
現実逃避を続けるうちにいよいよ金曜日の夜になった。
私は外が暗くなる頃、怖がって嫌がる妹の手を引いて二人でトイレの中に立てこもった。
狭くて小さな個室の中ぴったり身を寄せ合って鍵をかけたら安全な気がしていたのだ。
母が来るまでここで居留守を使おうと決め、妹を宥めながら待っているとチャイムの音が響いた。
来た、金曜日のババアだ。
──ピンポーン
妹の手をぎゅっと握ってトイレの中で息を潜めババアが去るのを待った。
──ピンポーン
まさか誰かが出るまで押し続けるつもり?
──ピンポーン
妹が泣き出すのを見てしーっと人差し指を立て制しながら、頭の中では呼び鈴を何度も押し続けるババアの姿を想像していた。
──ピンポーン
早く諦めて欲しいと半泣きでうずくまっていた時だった。
「……ヒロちゃんだ、ヒロちゃんだ!」
いつの間に泣き止んだのか妹が突然喋り始めた。
私は慌てて「静かにして!」と口を塞ごうとしたけど、妹はそれを振り払って「ヒロちゃん!ヒロちゃーん!」と目を爛々とさせて嬉しそうに声を上げる。
──ピンポーン
その間にもチャイムは鳴り続ける。
私は狭いトイレの中で肘や手をあちこちにぶつけながら妹をどうにか静かにさせようと必死になって止めていた。
「ヒロちゃーん!おーい!」
──コンコン
トイレのドアがノックされた。
驚いて飛び上がった私を尻目に妹がドアノブの鍵に手を伸ばそうとしたので、咄嗟にその手を思い切り掴んで爪を立てた。
妹が一瞬怯んだ隙に両腕をがっちり握ったが「ここだよ!ここにいるよー!」と叫びながら今度は足で扉をガンガン蹴り始める。
完全に様子のおかしい妹とドアの向こうでノックした何かに私はすっかりパニック状態で泣きながら妹の腕を握りしめていた。
──エリちゃん。
急に自分の名前が聞こえて血の気が引いた。
妹もぴたりと動きを止めて途端に静寂が訪れる。
──エリちゃん、ママに怒られちゃうね。
全く聞き覚えのない子供の声がドアの向こうから聞こえてくる。
誰なの、どうして家の中にいるの、なんで私の名前を知ってるの、恐怖で声も出せず固まったまま妹を見つめる。妹は食い入るようにドアを見ている。
──ママに怒られて泣くんだよ。いっぱいぶたれて泣くんだよ。兄ちゃんにもお仕置きされるんだ。
ギィィィ……。鍵をかけていたはずのドアが何故かゆっくりと開いていく。
やめて!開かないで!
凍り付き身動きが取れない私の祈りも虚しく、ドアの隙間から見えた薄暗い廊下の床と青白い脚。
そして
「あはははヒロとおんなじだねぇ」
目の下に泣きぼくろのある知らないおかっぱ頭の女の子が私を見下ろして笑っていた。
──ゴンッ
鈍い音と衝撃で目が覚めた。
気がついたら私はトイレのドアに頭を打ちつけていた。
床に座ったまま気を失っていたのか眠っていたのかわからないが、とにかくぶつけた額が痛かったことと、目の前のしっかり閉じられたドアにさっき見た光景が現実ではなかったのかと猛烈な不安が襲って来て、泣くのも忘れて慌ててトイレから飛び出した。
そのままリビングに駆け込むと、母が一心不乱に荷造りをしていた。
「……エリ、そんなとこ突っ立ってないで。あのね、おばあちゃん具合悪いんだって。お母さん今からおばあちゃんのとこ行ってくるから。お父さんも早く帰って来るって。カズキと待ってなさい」
今あったことを話そうとしたが声の出し方がわからなかった。
それよりも痛む額とカズキという名前が母の口から出たことで私はやっと思い出していた。
私にはカズキという中学生の兄がいる。でも妹なんていない。
掛け算が上手く言えないのも、人前で喋れなくなってしまうのも、全部全部私のこと。
じゃあ、あの子は……いると思い込んでいた妹は、誰?
自分の記憶がどんどん信用ならないものに変わっていき、金曜日のババアの存在も、さっき見た見知らぬ女の子の存在も全て曖昧にぼやけていく。
兄が自室から出て来たことで、私には確かに兄がいたんだと認識した。どうして忘れていたのか……。
母は荷造りを終えると父の帰りを待たずに家を出て行った。
母の言った通りその日は父もいつもより早く帰って来て、夕飯は三人でラーメンを食べに行った。
ラーメンを食べる兄を見て「もう俺より食べるようになったんだな」と呟いた父の表情が何故だかいまだに忘れられない。
帰宅後にズキズキと痛む額をそっと父に見せたところ、タオルで包んだ保冷剤をあてられ「心配だから今晩は父さんの隣で寝なさい」と和室に布団を敷いてくれた。
「吐き気や眩暈がしたらちゃんと教えるんだぞ」と言う父にちょっと照れ臭さを感じつつも、もしかしたらお父さんには、金曜日のババアのことも知らない女の子のことも、いないはずの妹のことも話せるかもしれないと思った。
寝る前に話しかけようとしたけど、やっぱり言葉が出てこなくて話せなかった。
──お姉ちゃん。お姉ちゃん、起きてお姉ちゃん。
妹の声がして目を開けると、部屋は真っ暗でカチッ、カチッ、と時計の針の音だけが規則正しく響いていた。父も寝ているのだろう。家中静まり返っていた。
なんだかとてつもなく嫌な予感がしてもう一度目を閉じて眠ろうとしたのに頭がどんどん冴えていく。
カチッ、カチッ、カチッ……秒針の音がやたら大きく聞こえる。
それと重なるように部屋の外でギシ、ギシ、ギシ……と廊下の軋む音がする。誰かが歩いている。
──ママァ……ママァ……
微かに聞こえて来た子供の声。
トイレのドア越しに聞いた声を鮮明に思い出して一瞬にして背筋が凍った。
──ママァ……
声は遠ざかっていったかと思いきや、また戻ってきて「ママ」と呼び続けている。
来ないで、ごめんなさい、来ないで、助けて……!
恐怖でガタガタ震えながら祈っていると、足音と声がぴたりと止んだ。
──マサフミ!!!!
急に低い声とドスドスと叩きつけるような音がして私の心臓が跳ね上がりけたたましく脈打つ。
──マサフミーーー!マサフミーーーーーッ!!!!アハハハハハハ
足音と声が遠ざかっては近付く。声の主が家中を走り回っている。
ドスドスドスドス……家が揺れているのではないかと思うほどの激しい足音と大きな笑い声に私は涙と鼻水を垂れ流しながら震えていた。
すぐ横で寝ているはずの父の方を振り向くことさえ出来ない。
声を絞り出そうとしてもヒューヒューと掠れた息が出るばかりだった。
ガタンッ
ついに足元の方にある襖が乱暴に開かれる。
「マサフミさぁん……」
しゃがれて弱々しい老人の声と、にゅっと暗闇に浮き上がる金曜日のババアの顔。
一歩ずつ肩を左右に大きく揺らしながら、ガクン、ガクンと壊れたおもちゃのような不自然な動きでこちらへ近寄ってくる。
お父さん助けてお父さん助けて来ないで来ないで来ないで!!
「マサフミさ、ん、マサフミ、さ、ァ、ん」
ババアの白髪頭がガクンと揺れると真っ黒の長い髪に変わった。
また一歩ガクンと揺れるとおかっぱ頭に変わり、背丈も服も次々と変わっていくのに顔だけはずっと貼り付けたような笑みを浮かべて変わらない。
ガクンガクンと揺れながら青白い顔と大きく膨れた泣きぼくろが私の目前まで迫って来た。
「マ、サ、フミ、サ、ァァ……」
私を覗き込んだ直後、首がぐるりと曲がって、ババアは隣で眠る父の布団の方を見た。
一気に目を見開いて口角が裂けそうなほど口を開けババアは笑った。
ガクン、ガクンと体を揺らしながら、長い黒髪や白髪頭、おかっぱ頭で一歩ずつ今度は父の布団へ回り込んでいく。
ようやくここで私の体は呼吸を思い出して、一気に吸い込んだ瞬間、意識が遠のいて視界が真っ暗になっていった。
再び目を覚ますとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
見慣れない部屋に一瞬戸惑ったけどそういえば昨日はお父さんの部屋で寝たんだった……と思い出す。
暗闇に浮かび上がる青白いババアの顔がずっと脳裏から離れず、私はそのまま声を上げて泣いた。
隣で寝ていた父が驚いて起きて、泣き声を聞き兄まで部屋に来るほどだった。
あんなに大きな声を出したのは久しぶりだった。
泣き止んでから洗面所に行って、冷たい水で顔を洗って鏡を見上げた私の顔には……泣きぼくろがあった。
もっと小さな頃からずっと、私には泣きぼくろがあった。
あの日以来金曜日のババアが我が家に訪れることはなかった。
勿論存在しない妹もすっかり見えなくなった。
あの出来事がショック療法になったのか、私は徐々に人前でも話せるようになっていった。
この後すぐに両親は離婚し転校したのだが、転校先の学校で「私ちょっと前まで喋れなかったんだよ」と言っても誰も信じてくれなかったくらいだ。
ただどんなにおしゃべりになっても、金曜日のババアのことや妹のこと、あの日の出来事は誰にも言えなかった。
話そうとすると、離婚以来もう連絡も取っていない父や兄のことを思い出して上手く言葉に出来なくなってしまい、母にも言えていない。
きっとあの頃の私は家庭不和やストレスで不安定になっていて夢と現実の区別がつかなくなっていたんじゃないかと思っている。
そうでも思わないと説明がつかないことだらけで居心地が悪い。
でも最近、金曜日の夜は決まって妙な夢を見る。
見知らぬ街で昔好きだった先輩を探して歩く夢だ。
「サトウユウトさん知りませんか」と、道ゆく人に縋りついては無視される。
仕方がないから少しでもその面影のある人を見つければ追いかけて、入って行った家のチャイムを鳴らして言うのだ。
「サトウさんのお宅でしょうか」
「サトウユウトさんはいますか」
夢の中でまだドアが開いたことはない。
もしも開いてしまったら、私はどうなるのだろう。
あの日の出来事も夢の内容も恐ろしくてたまらないくせに、またサトウ先輩に一目会えたならと期待がどんどん大きくなっていく。
もしもサトウユウトを探す泣きぼくろのある見知らぬ女が、ある日突然訪ねて来ても絶対にドアを開けないでほしい。
私が金曜日のババアになってしまわないように。