暖かな春の日差しが教室と身体中を包み、開いた窓から草木の匂いと青空が広がる小学4年生の春、5時間目の授業が自習時間になりました。1クラスは40人程の生徒がおり、教室には当然先生がいないため大変賑やかでした。
そんな中、珍しく漢字ドリルに集中していた私ですか、不意に校舎全体が唸りだすほどの風が吹き、驚いた私は瞬間、鉛筆を持つ手を止めると、
「シネ」
風の通り過ぎる刹那にとても低い女の声が私の右耳のそばで囁いていきました。
風は教室の掲示物やクラスのみんなを八つ当たりかの如く蹴散らしていきました。