「大きなボストンバッグ」

投稿者:オカルトメドレー

 

実体験です。
私の仕事は人の「死」を扱います。
夫を亡くした60代の女性客の話をします。

面談を終え、女性がソファから立ち上がり大きなボストンバッグを持ち上げた際、バッグの重みにふらついたので、「大丈夫ですか?」と私は尋ねました。

「ふふ…コドモ入ってるのよ」
と女性は微笑みました。

コドモ入ってる?

聞き間違いかと思い適当に微笑み返し見送った後、同席した上司に
「子供入ってるって言ってませんでした?」
と冗談交じりに尋ねたところ

「…やっぱりそう聞こえた?」
と上司は青ざめ答えました。

女性には戸籍上子供はいません。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志10101051550
大赤見ノヴ161715151780
合計2627252032130

 

書評:毛利嵩志
単なる聞き間違いかもしれないのですが、いいですね。こういう日常の隣に潜んでいる(かもしれない)ささやかな怖さ。

書評:大赤見ノヴ
一見、ブラックジョークでしょ?と思わせるような深く読み込んでいくとゾクっとする話でした。