「影鳥居」

投稿者:クダマツヒロシ

 

優さんの父の体験談。
深夜自室で眠っているとふいに目が覚めた。何気なく部屋の壁を見ると、窓から差し込んだ月明かりが壁一面に〈巨大な鳥居〉らしき影を作っている。周辺に神社などはないし、部屋の中にもそれらしきものは存在しない。一体あれはなんだ、と布団の中で考えているうち、影はみるみる薄くなり掻き消えた。
翌朝、優さんに「昨日こんな体験をしたんだ」と話したその日の夕方、父は自室で首を括って自殺した。
遺書の類は一切なかったが葬儀で受け取った香典の中に〈奉納〉と書かれた小さな紙が一枚挟まってあったそうだ。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志10101081048
大赤見ノヴ171717151783
合計2727272327131

 

書評:毛利嵩志
意味を何度も考えてしまいます。亡くなった父親は、体験者のかわりに命を差し出した、ということなのでしょうか……

書評:大赤見ノヴ
奉納とは、神仏や精霊などに対して供物を捧げる宗教的な行為。すなわち言い換えると父は誰かに生贄にされた可能性があると言う事。怖すぎるでしょ