「卵」

投稿者:影絵草子

 

朝食に出たゆで卵を割る。
その日ばかりは寝覚めが悪かった。
いつもなら机の角にぶつけて皹を入れてパリパリと殻を剥がしていく。
しかし、皹を入れた瞬間、どろりとした白身…いや赤いから赤身とでもいえばいいか…が流れ出してこぼれ落ち、たくさんの小さな悲鳴が机の下へと消えていく。
机の下を見ると逃げていく小さな背中が見えたが、見なかったことにした。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志101512121261
大赤見ノヴ141515161676
合計2430272828137