「けほ、けほ」

投稿者:猫科狸

 

──けほ、けほ

咳の音で目が覚める。部屋はまだ暗く、朝の訪れは感じない。

──けほ、けほ

苦しそうだ。辛いだろうな。

──けほ、けほ

咳は更に強くなる。可哀想に。幼い子が苦しそうにしているとこちらも胸が痛む。

──けほけほけほけほ

苦しそうな咳を聞きながら思う。なんで幼い子供が咳をしていると思った?
この家には俺しか居ないだろう。

慌てて布団から飛び出して電気をつける。
「けほっ」
小さく聞こえた咳の音は、線香のにおいと共に消えていった。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志101210121054
大赤見ノヴ161515151677
合計2627252726131