「2022年、夏」

投稿者:柳家花ごめ

 

一人飲みの居酒屋のカウンター。背後のテーブル席に学生らしき男女数人が座った。

「……で、その時相手の画面に、目が真っ黒の女が映ったの」

「何それ、メッチャ怖い」

「でもリモート会議中だし、他に誰も気付いてないから、お母さんも見えないフリしてて」

 どうやら学生達は怪談話に興じているらしい。

「その話、お母さんからもっと詳しく聞きなよ」

「でも、あんま覚えてないと思うよ。コロナが流行ってた時期だから、20年位前の話だし」

 聞こえた言葉の強烈な違和感に思わず振り向くと、誰もいないガランとした店内が広がっていた。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志121212121260
大赤見ノヴ171917181990
合計1212121212150