朝出勤前、
トイレで水を流した時の事だった。
タンクに水を貯める音に混じって、水を飲んで咳き込む様な音が聞こえてきた。
水が貯まるとその音は消えた。
夕方帰宅して、便座に腰掛けると後ろから視線を感じた。
その時少年がタンクから首を出し、
自分の後頭部をジッと
見つめている映像が急に頭に浮かんだ。
恐る恐る振り返るとタンクの蓋は閉まっまたままだった。
水を流してもタンクに水を貯める音しか聞こえなかった。
その日の夜、布団の中で
「この部屋で虐待でもあったのかな」
と呟くと、
トイレから水が流れる音が聞こえた。