夜の帳が下りた頃。蛍火の観賞を田中さんは楽しんでいた。お尻を光らせた蛍達が、目の前を縦横無尽に飛び交って行く。「昔の人間は、夜中に蛍火を目撃して人魂だと勘違いしたのだろう」と田中さんは蛍火に思いを馳せた。雑草の上で蛍が弱々しく光っている。その光につられて、元気そうな蛍が1匹飛来。交尾である。蛍は尻を光らせることによって求愛行動をするのだ。2つの光が闇夜の中で交わる。
すると突然、雌雄の光が消えた。
蛍の様子を伺うため、懐中電灯を取り出し照らしてみると、人の顔をしたカマキリが蛍を貪っていたそうだ。