僕は人がいつ死ぬのか分かる。天使が現れるのだ。
天使は妖精みたいに小さくて、死期が近い人の背後でおかしな歌を歌う。そして、次の日にその人は死んでしまう。
だから僕は、天使を連れて歩く人には優しくするよう心がけている。
ある日、外で畑作業をしているおじいちゃんの姿に息を呑んだ。窓ガラス越しでうっすらだけど、天使が見える。薄い姿を見るのは初めてだったけれど、歌声ははっきりと聞こえていた。僕は泣いてお爺ちゃんとの別れを悲しんだ。
翌日、おじいちゃんは泣いた。
「あの子が逝くには早すぎるだろう」