「ウソつきお母さん」

投稿者:でんこうさん

 

お母さんは泣き虫な私によくウソをついた。

私が黒焦げの卵焼きを出した時も
「とっても美味しいよ」
と食べてくれた。

私が窓ガラスを割った時も
「窓ガラスにヒビが入っていたから、取り替えようと思ってたのよ」
と心配そうに笑ってくれた。

私が病室でお母さんの手を握って泣いていた時も
「来月には退院できるからね」
と頭を撫でてくれた。

お母さんが亡くなって年月が経ち、私は1人暮らしを始めた。
ある夜、部屋の隅に髪の長い女が立っていた。
その時
「悪いオバケじゃないから怖がっちゃダメよ」
と耳元で優しく力強いお母さんの声がした。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志151515121269
大赤見ノヴ181617171785
合計3331322929154