昔、祖父は宮司で、あるとき賽銭を回収すると変なモノが混じっていた。歪んだ切れ端。光沢がある。念のため取っておいた。その後も何度も似たのが投げ込まれる。相変わらず何かは不明だったが、不意に正体が判明した。
顔だった。
その日入っていたのはそれで、ようやく、今までのものはその人の全身写真をバラバラに切り刻んだ一部だったのだと知れた。
そして、そこを境に行為はピタリと止んだ。
「ただ数週間後に、えらく大きな額が賽銭箱に納められててね……」
祖父はずっとそのことが引っ掛かかっている、と語った。