ソファでうたた寝している時、変な夢を見た。
居間の扉を開いて父が、髪の長い陰気な女性と手を繋ぎながら入ってくる。女性を置いて、父は外に行く。その人はじっと私を見ている。
今度はショートヘアで明るい表情の女性と手を繋いで入ってくる。
「お前、どっちのお母さんがいい?」
ソファで寝転んだままの私に父はそう聞く。
夢の中で私は、ショートヘアの女性を選んだ。
翌年、父が再婚相手として連れてきたのは、髪の長い陰気な女性だった。
女性が、固まっている私に笑いかけながら言う。
「あっちの人は、もう居ないから。私がお母さんよ」