「芋虫」

投稿者:青空あかな

 

今年で二十歳になるAの腕には、芋虫が住んでいる。
皮膚の表面をゆっくりと蠢き、たまに首を上げてこちらを見た。
何度振り払っても潰しても、少し経つと同じ場所に現れ皮膚を這い回る。
当初こそ、Aは気持ち悪くてどうにかなりそうだったが、徐々に愛着が湧いた。
今では毎日愛でるのが習慣である。

「ようやく蛹になったわね。どんな蝶になるか楽しみ……」

老婆の顔をしたAは芋虫などいない腕を撫で、心底嬉しそうに言った。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ161616151679
毛利嵩志121215121263
合計2828312728142