本家の墓へ、約20年ぶりに足を運んだ。
曖昧な記憶を頼りに歩いていると、砂利道の先で子どもが手招きしている。
亡くなった叔父の面影が残る顔つきに、誘われるがままに後を付いていく。足が覚えているというか、この曲がり角の先に墓があることを確信した。
地主の大きな墓に隠れた区画、その中に立つ墓は朽ち果てていた。それはどうみても私の知る本家の墓ではない。
唖然とする私の背に男の子の声が届く。
「秘密基地」
振り返ると、帰り道を塞ぐように、少年が火のついた線香の束をボリボリと噛み砕きながら笑っていた。