俺には背後霊がいる。
二十歳くらいの女性だ。
随分と自由気ままな背後霊で、ずっと俺の後ろにいるわけではない。
ある日、いつものように俺から離れて行く背後霊の後を追いかけてみることにした。
(……神社?)
到着するなり袈裟を着た坊主の住職らしき人が俺の方を見て、キッと睨みを利かせる。
「悪い霊が憑いているね……」
(悪い霊!? 背後霊じゃなかったのか!?)
ゆっくりと背後霊だと思っていた女が振り返る。
「……え?」
「除霊してあげましょう」
白い旗のついたお祓い棒を左右に振る。
瞬間、視界がぼやける。
(……え?)