「読めた?」

投稿者:柳家花ごめ

 

『これが読めたら、後ろを見てはいけません』

 深夜の公園の古い公衆トイレのドア、その内側の奇妙な落書き。
 一緒に肝試しに来た友人が入れ替わりで同じ個室に入ったので

「変な落書きがあったね」

 出て来た彼女にそう言うと

「そんなの無かったよ」

 と言う。見ると確かに消えているので、不思議に思いながらも2人で外に出た時

「見て」

 前を歩く友人の声が、背後から聞こえた。

「どう「見て」したの?」

 足を止めた私に声をかける彼女の言葉に、後ろから同じ声が重なる。
 見るべきじゃないのは分かっている。

 分かってはいる。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ161516151577
毛利嵩志121215121566
合計2827312730143