小学5年の時、モトキ君という男子が転校してきた。
やや太っていたがニコニコしていて優しげで、憎めない感じがした。
その日は体育でドッジボールをした。
体育が終わった後はお楽しみの給食だ。
カレーだったことをよく覚えている。
あまり見た目はよくないかもしれないが、
僕はルーとご飯を先に全部混ぜてから食べる。
ふと隣を見るとモトキ君も同じようにしているようだった。
仲間だと思って声をかけよとした時、
モトキ君が口からカレーを皿に吐き出した。
「何でも口で細かくしてから食べるんだ。家だとお母さんがやってくれるんだけどね」