近くの岸壁で夫と夜釣りをしていた時の事。
突然暗闇から靴音が聞こえてきた。 そして、赤いワンピースを着た女が近付いて来た。泣いている様で鼻を啜りながら、通り過ぎて行った。
「こんな時間に一人で灯りもなしに危ないよね」 女が去って行った暗闇をじっと見ていた。
すると「釣れますか?」
今しがた暗闇に消えていったはずの女が背後に立っていた。驚く暇もなく、女は再び去っていった。
次の瞬間、ボチャンと音がした。
女が海に落ちたのだと思い、岸壁の方に走った。暗い海面をライトで照らすが、海面は静かに波打っているだけだった。