「心当たり」

投稿者:鍋島子豚

 

豊島さんが高校生の頃。夜になると、自室前の廊下に見知らぬ女性が立っていることがあった。

30歳前後の見窄らしい格好の女性。歯を食いしばり豊島さんを睨みつけ、
「サクマを殺して」と叫び、溶けるように消える。

サクマは母の旧姓である。

夕食時にその話をすると、母は首を傾げて呟く。

「どっちだろう…」

女性にしては短い髪型と、若白髪だったことを伝えると。

「そっちかぁ…」
と嬉しそうに微笑んだ。

以来、母には何も聞けないでいる。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ161715151780
毛利嵩志121515151269
合計2832303029149