「金」

投稿者:青空あかな

 

 通勤帰り、警官に職務質問された。
 面倒に思いつつも答えていたら、雲行きが怪しくなった。
 空き巣犯に疑われ始めたのだ。
 懸命に否定していると、前から来た男が突然俺の肩を掴んだ。

「金出せ、金っ」
「か、金?」
「いいから早くこいつに渡せ」

 男の据わった目が怖くて警官に金を渡したら、スーッと虚空に消えていった。
 唖然としていると、男が教えてくれる。

「あいつは警官の幽霊なんだよ」
「マジすか」

 男は昔を思い出すように、警官が消えた場所を見て話す。

「変わんねえなぁ。俺があいつの娘殺したときも、金払えば見逃してくれたよ」

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ141415151472
毛利嵩志121512151266
合計2629273026138