通勤帰り、警官に職務質問された。
面倒に思いつつも答えていたら、雲行きが怪しくなった。
空き巣犯に疑われ始めたのだ。
懸命に否定していると、前から来た男が突然俺の肩を掴んだ。
「金出せ、金っ」
「か、金?」
「いいから早くこいつに渡せ」
男の据わった目が怖くて警官に金を渡したら、スーッと虚空に消えていった。
唖然としていると、男が教えてくれる。
「あいつは警官の幽霊なんだよ」
「マジすか」
男は昔を思い出すように、警官が消えた場所を見て話す。
「変わんねえなぁ。俺があいつの娘殺したときも、金払えば見逃してくれたよ」