「泡立ち」

投稿者:青空あかな

 

 とうとう、憧れのケーキ屋にパティシエとして務めることになった。
 ここは赤いスポンジが有名で、子どもの頃からずっと好きなのだ。

 勤務初日、さっそくケーキ作りが始まる。
 まずはお店を好きになったきっかけの、大好きなスポンジの仕込みだ。
 卵を溶かしたところで、教育係の店長が包丁で指を切ってしまった。
 慌ててタオルを渡したら、ポタポタと卵液に血を注いでいる。
 なんで血なんか入れるんですか!と叫んだら、店長はきょとんとした顔で答えた。

「だって、血を混ぜた方が泡立つよ?」

 周りのパティシエも不思議そうに頷いている。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ141414141571
毛利嵩志121515121569
合計2629292630140