休日は近所に新しく出来たお洒落なパン屋さんに行くのが最近の日課であった。
品揃えは毎回違っていて、どれも凄く美味しそうで迷ってしまう。
店内に誰もいなかったこともあり、無意識のうちにトングをカチカチと鳴らしながら選んでいると、
「うるさいなあ」
背後から低い男性の声でボソリと呟かれた。
誰もいないと思っていたので、驚いて振り向くもやはり誰もいない。
ただ後ろには、某菓子パンのヒーローの顔がチョコで描かれたパンが並んでいたのだが、その内ひとつだけ、私を睨むような険しい顔が描かれていた。