「母の声」

投稿者:朧紙

 

母の声で電話がかかってきた。
「今どこ?ご飯できてるよ」
懐かしくて、胸が詰まる。母は去年、亡くなっている。
黙っていると、もう一度。「早く帰っておいで」
でも──声に微かな違和感がある。抑揚が、妙に均等。
おかしいのは、それだけじゃない。
着信履歴を開くと、「母」の名前が消えていた。
代わりに表示されていたのは、
“おまえ”;

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ151515161677
毛利嵩志151215121569
合計3027302831146