「あの机なんかまずいんですよね」
部下に言われて舌打ちした。苦笑いする彼に言ってやった。
「じゃあ、俺が座る」
その机の主、Tは半年前に急死した。しばらく机を空けておいたが、新人が来たのでそこに座らせた。しかし新人はすぐにやめてしまった。
次に来た新人を座らせたが、無断欠勤して来なくなった。
そこで古参の部下を座らせたが、迷信めいたことを言うので、俺が座ることにした。
何も起こらないじゃないか。バカバカしい。
ある日の夜、仕事を終えて守衛の前を通ったが、私に放った言葉にぞっとした。
「あ、Tさん、お疲れ様です」