「鳥……なのか?」

投稿者:鬼乃 日向(きの ひなた)

 

梅雨明けの少し前、朝顔が咲いた。少し小さめだが、鮮やかな赤紫色でキレイだ。
洗い物をしながら台所の小窓から見ていて、ふと少し目を離した隙に、猫より大きな茶色い鳥が、こちらへ背を向けて立っていた。
いつの間にとギョッとして見ていると、羽の間からニュッとゴツい男の腕が出て来て朝顔の花を鷲掴みにし、ムシャムシャと食べ始めた。
「ヒッ」と息を呑むと、そいつが勢い良く振り向いた。
案の定、厳つい人間の男の顔がついていた。
「君も食べる?」
その声は、少年のように澄んでいた。
私は首を横に振るだけで、精一杯だった。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ161516161679
毛利嵩志121212121563
合計2827282831142