「本」

投稿者:バート

 

ある古本屋の棚の真ん中に、古いが美しい装丁の本がある。

客はそれを引き抜くと、表紙を開きページをめくり、首を傾げてつぶやいた。

「……え?これ……」

ぱたん、本が閉じる音がする。
続いて、ことんと落ちる音。
もう客はいない。

ちゃんと戻せよ、他にも見てけよ、何か買えよと思うが仕方ない。

落ちた本を拾い上げ、表紙を開きページをめくり、首を傾げてつぶやいた。

「……こんなに厚い本だったろうか?」

ぱたん、本の閉じる音がした。
続いて、ぼたりと落ちる音。

誰もいない古本屋の真ん中に、古いが装丁の美しい本が一冊落ちていた。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ151616161679
毛利嵩志121215151569
合計2728313131148