幼少期、父が手首を外して見せてくれた。
左手で右手の手首を掴み、上下させ、ゆっくりと引く。
するりと手首が取れ「持ってみるか」と渡せれた。
手首を温かく、思ったより軽い。
断面を見てると、真っ赤で、血は落ちては来なかった。
父に返すと、ゆっくりと手首を腕に付け、右手の人差し指を口に当て「しーっ」とポーズを取った。
幼い頃の記憶、父親に真相を聞きたいと思い数年ぶりに帰る事にした。
帰る翌日、母から「父が亡くなった」と訃報が入る。
自室で亡くなっていた父は右手首がない状態で発見され、手首はその後、見つからなかった。