「シシ鍋」

投稿者:虚無僧

 

『今日はシシ鍋だで、父ちゃんに伝えてけれ』

この電話が入ると、このあたりの家はどこも騒がしくなる。子ども達は日も沈まぬうちから風呂に入れられ、有り合わせのもので夕食を済ます。眠くもないのに布団に突っ込まれた私は、羊を何匹も数えることになった。家々の電気は落とされ、集会所の明かりだけが灯された。なにやら準備を終えた父が母に見送られて出ていく。恐らく、父が向かうのは鍋を囲んでの食事会ではないのだろう。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
大赤見ノヴ151515161475
毛利嵩志151515151575
合計3030303129150