朝起きると、タロウが犬小屋の中で死んでいた。親戚の家から貰われてきたタロウは最初、新しい家族に慣れずに吠えてばかりいた。でも一緒に過ごしている内に仲良くなり、いつしかお手やおかわりまで出来るようになった。
タロウとの思い出は尽きなかった。一緒にボール投げをした事も、プールで泳いだ事も、打ち上げ花火を見た事も、僕にとって大切な思い出だった。
僕はタロウが大好きだった。だから亡骸はいつでも会えるように庭に埋める事にした。
「バイバイ、タロウ」
僕はそう言って首輪を外し、タロウの白髪だらけの髪の毛に触れた。