私が勤める会社のトイレの手洗いは、手を差し出すと自動で水が流れる仕様になっている。その一部に誰もいないのに水が流れる手洗いがある。不思議な手洗いで、とんでもなく忙しく、やっと一息付いたとトイレに入ると「ジャー」っと水が。労わられたような気分になる。2年前に子宮筋腫の手術を受けた。2週間ほど休み、出勤した日も「ジャー」っと。「生きとったんかいワーレー!」と言われた気がする。今年の梅雨前に父が倒れたあとも、夏に亡くなったあとも、水は流れた。私の状況がわかるのか。とりあえず私は「ありがとう」と呟いた。