「ねぇ、 今日でいい?」
Y子は、突然そう言った。
「何が?」
冷たいお米を弄びながら、顔を上げる。
10月秋手前の風が強いお昼、持参したお弁当は屋上の風のせいか冷えていた。
Y子は視線を合わせずに、立ち上がるとスタスタと歩いていく。
Y子のお弁当は開けられてもいなかった。
そのまま、フェンスを乗り越えると
当然のように落ちていった。
私には、その後の記憶が無い。
それから、毎年
「ねえ、今日でいい?」
という声で目が覚める。
10月9日は、Y子の命日。
目が覚めると、私は屋上に立っている。