彼の実家に泊まっていたAさん。
「ガラッ!」
早朝、引戸が開く音で目が覚めた。
彼がバイトから帰って来たのかと、戸の方に目をやった。
そこには見知らぬ女がいた。
緩いカールの長い髪。
ツバの広い帽子で顔を覆い、冬だというのに、
袖なしのワンピースを着た女が、ゆっくりとAに近づいて来た。
恐怖のあまり、ギュッと目を瞑った。
恐る恐る目を開けてみると、女は消えていた。
後日、彼と彼の弟に話した所、弟もこの女を見ていた。
ワンピースから伸びる痩せて、骨張った腕と脚、弛んだ皮膚。
顔は見えなかったけどあれ、老婆だったよね・・・