「閉じ込めてある」

投稿者:猫科狸

 

亡くなった祖父が好きでは無かった。
無愛想だったし何だか近寄りがたくて。
祖父も私を嫌っていたのではないかと思う。私が一番愛されてるって母は言っていたけど。

お盆の後から祖父の姿が見えるようになった。
遠くから怖い顔をして少しづつ近付いてくる。
御守りを買ったり塩を盛ったりするんだけど全く効果が無い。
ついには目の前に立つようになった。
怖くて震えていたら祖父の声が聞こえた。
「あれは箪笥に閉じ込めたから安心しろ」
って。
今はもう祖父の姿を見ることはなくなった。
あれから箪笥を開ける事が何だか怖い。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志101010121254
大赤見ノヴ151715151577
合計2527252727131