子供の頃。リサイクル店の、叔父宅に預けられた時。
暑すぎ、勝手に売り物の扇風機を運び、おやつのスイカ片手に畳で涼んだ。
あぁああ……
羽根に声を当て遊び、飽きると寝そべった。
あぁあ
目を開けた。
あぁァあアアあ
扇風機から、なぜか余韻のように聞こえた。苦しそう、断末魔みたい……。そこまで記憶がある。
母曰く、私は「おいしい?」と嬉々として、回る扇風機にスイカをあげてたらしい。グシャグシャと羽根に粉々にされた残骸は、西日の中で一際赤黒く畳を濡らしてたという。
誰かが買ったのか、その後その扇風機は一度も見かけない。