「扇風機」

投稿者:那夜あやな

 

子供の頃。リサイクル店の、叔父宅に預けられた時。
暑すぎ、勝手に売り物の扇風機を運び、おやつのスイカ片手に畳で涼んだ。

あぁああ……

羽根に声を当て遊び、飽きると寝そべった。

あぁあ

目を開けた。

あぁァあアアあ

扇風機から、なぜか余韻のように聞こえた。苦しそう、断末魔みたい……。そこまで記憶がある。

母曰く、私は「おいしい?」と嬉々として、回る扇風機にスイカをあげてたらしい。グシャグシャと羽根に粉々にされた残骸は、西日の中で一際赤黒く畳を濡らしてたという。
誰かが買ったのか、その後その扇風機は一度も見かけない。

 

得点

評価者

怖さ鋭さ新しさユーモアさ意外さ合計点
毛利嵩志121815151575
大赤見ノヴ151516161678
合計2733313131153